2014年12月28日更新
今年もあと4日となりました。1か月に1回と自分に義務付けたブログも、業務が忙しく、11月の頭から1か月半以上の期間が開いてしまいました。
我々弁護士、特に訴訟を扱う弁護士は、訴訟や調停になっている案件については、裁判所の期日にあわせて打ち合わせをして、書面を作って、提出して、、、という都合で動いていくので、裁判所の休み等に左右されることが多くなります。
12月の最後は裁判所が休み(御用納めが26日なので、今年は27日から裁判所はお休み)ですから、11月の裁判の期日になると、次回期日を決めるときに
裁判長「では、次回期日ですが、1カ月後ですと12月15日からの週になります。15日はいかがでしょう?」
鈴木「15日は午前中であればお請けできます。」
相手方代理人「15日は午後しか空いていません。」
裁判長「では、22日はいかがでしょう?」
相手方代理人「22日は差し支え(※注:都合が悪いことをいう。)です。」
裁判長「では、次は来年の1月8日はいかがでしょう。」
となって、あっという間に次回が1月となり、12月に期日が入らないことが多くなります。
ということで、12月は比較的余裕のあるスケジュールの年が多いな、というのが例年の実感です。
ところが、今年はちょっと事情が違いました。
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先日、破産申立当日まで営業を継続していた法人の破産の申し立てをすることになったのです。
個人の破産の場合、特に、債権者に分配するような財産が無いような場合であれば、破産をしようとするご依頼者の方にお願いしていた資料が届かなくて、申立までに何か月もかかるということも特に問題が無く、また、そうなることが通常です。
ところが、事業を現に行っている法人の場合、一定の申立日に向けて強烈なスピードで作業を進めて申立を完了しないといけないのが通常です。
会社は、多くの仕入れ先や従業員などの関係者が多く、ダラダラと手続を進めていると、結局未払いの金額が増えてしまい、これらの関係者に迷惑をかけてしまう可能性が大きくなるからです。
例えば、ある日に大きな支払いの予定があり、これに対する支払いができず、それ以後、会社の事業を続けることができないことが明らかな場合、その期日までになんとか申し立てをして、それ以上損害が拡大しないようにしなければなりません。
申立の日まで1か月以内というのは当たり前ですし、場合によっては数日で申立までしなければならないということもあり得ます。
そして、その間は、弁護士と社長ほかキーパーソンのみで情報を共有して絶対に外に情報を出さないようにしなければなりません。
税金の滞納がある場合、破産申し立てを察知されてしまうと、滞納処分として不動産などの差し押さえの処分を受けてしまうことがあるからです。
今回も、詳しくは言えないのですが、様々な事情を私と社長で検討し、申立日を決定しました。
大きな破産の申し立ての際には、破産の申立後の作業もそれなりのボリュームが予想されるため、横浜地裁から横浜弁護士会に対して、一定の破産申立ての際には事前に相談して欲しいという基準が伝えられています。今回はその基準に該当したため、私から連絡をとり、裁判官、書記官さん達と具体的な手続を検討してから申立となりました。
事務作業もかなりの量になることが予想されたため、事務所の森弁護士と事務局にも総動員で手伝ってもらい、何とか予定していたとおりの日程で申し立てができました。
申立前後は土日も祝日も無かったのですが、会社が破産するとなると従業員の方々は職を失い、取引先にご迷惑をかけるわけで、そういった方々がいるのに自分が弱音を吐くわけにもいかない、苦労など大したことなど無い、とやりきりました。
特に従業員の方に対しては、会社の支払い能力の問題とはいえ、年末のこの時期に不安な立場になられたことに対して代理人として申し訳ないと思います。
未払賃金立替払制度のご案内もさせて頂きましたが、今後の破産手続の中でも、できる限りの配当が得られるようにと祈っております。
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ちなみに、申立当日、会社で残務整理をやり、在庫等の商品を勝手に持ち出されないように、張り紙をして会社を閉鎖していました。
すると、債権者の方々が何人か会社に押しかけてきました。
原材料などの品物を持ち出させてくれ、とか、社長に対して、会社が破産するなら自分の個人の財産から払え、などと迫る債権者もいました(もちろん、連帯保証をしていない限り、そんな法的な義務は有りません。)。
私から、張り紙に書いてある、財産は代理人が管理していることと、手荒なことをするとあなた自身が警察に捕まってしまう可能性があるよ、ということをご説明して帰ってもらいましたが、それだけでも弁護士に委任したということの意味があると思います。